【保育士が解説】乳幼児の食育｜家庭でできるモンテッソーリ流10の工夫

この記事は、
1〜3歳の乳幼児を育てているママ・パパ
そして、
「食育を始めたいけれど、何からすればいいかわからない…」
そんな方に向けて書いています。

私は現役の保育士・学童支援員、そしてモンテッソーリ教師として、
たくさんの「じぶんでやりたい！」「できた！」という瞬間に立ち会ってきました。

その中で強く感じるのは、
乳幼児の食育は“教えること”よりも“環境を整えること”が9割 だということです。

たとえばこんな小さな日常も、すべて大切な食育です。

どれも、子どもの 自立心・集中力・感覚の発達 を支える経験になります。

ここからの記事では、

を、保育士目線でやさしく解説しています。

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乳幼児期の食育とは？「生きる力」の土台をつくる大切な時期

乳幼児期の食事は、ただ「食べるだけ」の時間ではありません。
1〜3歳のこの時期は、心と体、そして“生きる力”の基礎がぐんと育つ大切な時期です。

1-1 乳幼児期の食育の目的と3つの柱

乳幼児期の食育には、特に大切な 3つの柱 があります。

1-1-① 味覚を育てる（シンプルな味を経験する時期）

1〜3歳は“本物の味”を覚える大切な時期です。

この頃に、砂糖・香料などの強い味に慣れてしまうと、
本来の素材の味（野菜の甘さ、だしの香り）を感じにくくなることも。

こうした “自然の味を感じる体験” が、味覚の土台をつくります。

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1-1-② 自立心の芽生えを促す（やりたい！を尊重する）

乳幼児は「自分でやりたい！」という気持ちがとても強い時期。
スプーンを持つ、コップを持つ、食べ物を選ぶ――。

そのすべてが 自立心の芽生え につながります。

少しこぼれても、時間がかかっても大丈夫。
それが“できた！”につながり、自己肯定感になります。

1-1-③ 食べ物への感謝が育つ（心の成長）

乳幼児は「育てる」「調理する」「食べる」という流れが理解しやすい時期です。

こうした小さな経験が、
「食べ物って誰かが作ってくれたものなんだ」
という 感謝の心 を育てます。

1-2 モンテッソーリ教育と食育の密接な関係

モンテッソーリ教育では、食は“重要な自立活動”と考えられています。

とくに乳幼児（1〜3歳）は 「感覚の敏感期」 と呼ばれ、
五感を使って学ぶ力が強く働く時期です。

1-2-① 1〜3歳は“感覚の敏感期”

こうした五感を使う活動は、食事の中にすべて含まれています。
食育はまさに“感覚の教育”そのものです。

1-2-② 「やりたい！」を尊重することが食育になる

モンテッソーリ教育では、大人が先回りしません。
乳幼児がスプーンを持ちたがる、皿を運びたがる――これは立派な学び。

大人は、成功しやすい環境を整え、見守ることが大切です。

1-2-③ 手を使った活動＝脳の発達につながる

食事は、実はとても高度な全身運動です。

これらはすべて神経の発達と深く関わっており、
モンテッソーリ教育でも 「手を使うことは脳を育てる」 と言われています。

乳幼児の食育は、
脳の発達 × 自立心 × 五感の育ち
を同時に支える、とても価値の高い時間なのです。

乳幼児の食育は「やりたい！」を育てる食卓づくりから

1〜3歳は、「自分でやってみたい！」という気持ちが強く育つ時期です。
この時期の食卓には、子どもの自立心や集中力、感覚の発達を支える大切なチャンスがたくさん詰まっています。

2-1 子どもサイズの環境が“成功体験”をつくる

子どもが「自分でできた！」と感じるためには、
まず 子どもが扱いやすい環境 をつくることが大切です。

■子どもが扱いやすい環境

こうした“ちいさな環境づくり”が、すべて成功体験につながります。

■ おすすめの環境づくりアイデア

2-2 大人が“やりすぎない”ことが最大の食育

乳幼児は「できない」からやりたいのです。
そして、やってみる経験を通して初めて、「できる」に変わっていきます。

こうしたことは、どれも自然な発達のプロセス。
つい大人が手を出してしまう場面こそ、食育のチャンス です。

✨ 大人が気をつけたいポイント

2-3 食卓で育つ5つの力

1〜3歳の食卓は、生活に必要な力がすべて学べる小さな教室です。

■食卓で育つ5つの力

では、それぞれ詳しく見ていきます。

① 片付ける力

ナプキンをたたむ、使ったお皿を運ぶ、テーブルを拭く。
「自分で片付ける」経験は生活習慣の土台になります。

② 注ぐ力

小さなピッチャーから水を注ぐのは、手首の発達にぴったり。
少量の水なら、こぼれても安心。

③ 盛り付ける力

パンを皿にのせる、野菜を少し取り分けるなど、
小さな活動が集中力を育てます。

④ 運ぶ力

お皿を両手で運ぶ経験は、“ていねいに扱う心”を育てます。

⑤ 選ぶ力

「コップはどれにする？」
「今日はヨーグルト？バナナ？」
こうした選択は、自分で考える力を育てます。

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家庭でできる乳幼児の食育アイデア10選（すぐできる）

乳幼児の食育は、特別な準備をしなくても、今日の食卓から始められます。

1〜3歳は “やりたい気持ち” が一気に伸びる時期。
家庭での小さな経験が、子どもの自立心や感覚の発達につながります。

3-1 手伝いたい子にぴったりの「簡単クッキング」

乳幼児に向いているのは、失敗しにくい・成功しやすい クッキング。

■ できることの例

少し手伝うだけで「できた！」という笑顔が増え、自立心が育ちます。

3-2 食材に触れる体験が“興味”を育てる

1〜3歳は「感覚の敏感期」。
触る・においをかぐ・観察する—、五感すべてが学びになります。

■ 取り入れやすい体験

触れる体験が増えるほど、
「この野菜、食べてみようかな」 という興味につながります。

3-3 子どもと一緒にできる“選ぶ・決める”工夫

選ぶ経験は、モンテッソーリ教育の核となる大切な活動です。
「自分で決めた」ことは、子どもの自信につながり、自己肯定感を育てます。

■ 毎日の中で取り入れやすい例

3-4 味覚を育てる「無添加のシンプルな味」

乳幼児の味覚は、これから育つ「まっさら」な状態です。
この時期に 砂糖・香料・化学調味料 の強い味に慣れてしまうと、
素材そのものの味を感じにくくなることも。

だからこそ、食育のはじめの一歩は
“素材の味をそのまま味わえるシンプルな調味” がおすすめです。

■ すぐできる工夫

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3-5 食材の“変化を見る”ことで理解が深まる

食育は、ただ食べるだけでなく「食材がどう変化するか」を見ることも大切です。

火を通す前と後では、触り心地や色、においが大きく変わります。
この変化に気づけることが、科学する心や観察力の土台になります。

■ 取り入れやすいポイント

3-6 コープなどの宅配食材を“開封するだけ”の食育

忙しい家庭ほど、宅配食材は食育の味方になります。
段ボールを開ける、袋から出す、ラベルを見る—。
どれも乳幼児が喜ぶ「わくわくする作業」です。

■ やってみたい！を引き出すコツ

宅配は、スーパーよりも落ち着いて「食材を見つめる時間」を作りやすいメリットがあります。

3-7 片付けまで一緒にやると“自立心”が育つ

食育は、食べる・作るだけでなく「片付け」まで含めると、自立心の育ちがぐんと加速します。
自分で運ぶ、自分で拭くという行動は、満足感と達成感につながります。

■ 取り入れやすいお手伝い

まずは「できる範囲」で十分です。
驚くほど、誇らしそうな表情を見せてくれますよ。

3-8 成長に合わせた“器やスプーン”で成功体験を作る

乳幼児は、手に合った道具を使うだけで格段に食べやすくなります。
重すぎる器、すべりやすいスプーンだと「できない…」という気持ちが先に来てしまいます。

■ 器選びのポイント

道具が変わるだけで、「自分でできた！」の数が一気に増えます。

3-9 “同じ流れ”を作ると安心して食事に向き合える

乳幼児は、予測できる流れがあると安心して行動できます。
モンテッソーリ教育でも“秩序の敏感期”といわれるほど、一定のリズムを求める時期です。

■ 毎日の流れの例

同じリズムがあるだけで落ち着きが生まれ、食わず嫌いや遊び食べの予防にもつながります。

3-10 できたことを“言葉で認める”と意欲が続く

乳幼児は、「行動を具体的に認めてもらう」と次に挑戦する力が自然とわいてきます。
抽象的な「すごいね！」よりも、行動を言葉にすると効果的です。

■ 声かけの例

忙しい家庭でもできる乳幼児の食育｜“時短”で続けられる工夫

共働きやワンオペの家庭では、
「食育したいけれど、時間が取れない…」
そんな声をたくさん聞きます。

けれど、乳幼児の食育は“特別な時間”を作らなくても大丈夫。
毎日の食卓を ちょっと整えるだけ で、自然と育っていきます。

4-1 生協（コープ）が乳幼児食育に向いている理由

生協（コープ）は、乳幼児期の家庭にとても相性の良いサービスです。
その理由は “安心” と “時短” が同時に叶う から。

■ コープが食育に向いているポイント

これらは「忙しくても質の良い食育を続けたい」家庭にぴったりの組み合わせです。

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冷凍野菜やだしパックを使えば、
下ごしらえの時間がぐんと短縮されます。
その分、子どもとの“関わりの時間”を確保できるのが、コープの大きなメリットです。

4-2 時短でも学べる「準備された環境」（モンテ式）

モンテッソーリ教育では、
「大人が準備した環境」＝ 子どもが学べる環境 と考えます。

これは忙しい家庭でもすぐに取り入れられます。

■ちょっとした環境で学びが生まれる

たったこれだけで、
「自分でやってみる！」
という気持ちが自然に引き出されます。

4-3 食卓のリズムが子どもの安心につながる

どんなに忙しくても、
食卓の“流れ”がいつも同じ であることが、乳幼児の安心につながります。

■食事のリズムの例

こうした「小さな秩序」が、乳幼児の心を落ち着かせ、
“自分でできる” 行動の積み重ね になります。

■小さなルールで秩序感が育つ

乳幼児食育で気をつけたい5つのポイント

乳幼児の食育は、頑張りすぎなくて大丈夫です。
子どもは大人とは違うリズムで育つため、「食べる量・食べるタイミング・好き嫌い」すべてが成長の途中にあります。

完璧をめざさず、“気をつけたい5つのポイント”を知ることで、親も子もラクに楽しく、無理のない食育につながります。

5-1「食べない日」も成長の一部

食べむらは、1〜3歳にとてもよくある姿です。
昨日食べたものを今日は食べない…その繰り返しで成長します。

大切なのは、量よりも「食卓での安心感」です。

■ 食べない日はこう考える

食べむらが続くと心配になりますが、1〜3歳ではよくある姿です。詳しくはこちらの記事で解説しています。【子供の食事の悩み】好き嫌いを克服するための5つの工夫で、食事を楽しくしていきましょう

 

5-2 怒らない・比べない

乳幼児は、怒られると“食べること＝イヤな時間”と覚えてしまいます。
また、兄弟や友達と比べられると「どうせできない」と自己肯定感が下がってしまいます。

■ やってはいけない声かけ

 

■ 代わりに使いたい声かけ

子どもにとって一番のご褒美は、「受け入れてもらえた」という安心感です。

 

5-3 好き嫌いは“興味の偏り”

「嫌い＝食べられない」ではなく、まだその食材に十分出会っていないだけということが多いです。

大人が思うより、子どもは「初めての食材」に慎重で、慣れるまで時間がかかります。

■ 対応のコツ

10回以上出会うと食べられるようになることが多い

触る → におう → 見る → 調理を見る → 皿にのせる → 食べる、と段階をふむ

無理に食べさせず、「存在を見せる」だけでも立派な食育

5-4 栄養よりも“体験”を優先

乳幼児期は、完璧な栄養バランスより、食べる体験そのものが大切です。
好き嫌いがあっても、食べむらがあっても、「食に向き合う経験」が未来の食生活の土台になります。

■ 優先したい体験

食べる量や好き嫌いは、成長とともに自然と広がります。
だからこそ、小さな体験を積み重ねることがもっとも価値のある食育になります。

5-5 親も無理しない。時短に頼ってOK

乳幼児期は、大人は毎日が本当に忙しいもの。
全部を手作りにする必要はありません。
冷凍野菜・惣菜・コープの便利食材など、“安心なショートカット”を賢く使うことも立派な食育です。

■ 時短の味方

忙しい日こそ、丁寧な食育より「ニコニコの食卓」が何より価値があります。
親の心が安定していると、子どもも自然と落ち着いて食べられるようになります。

 

▶1〜3歳の乳幼児を育てているママ・パパ
そして、「食育を始めたいけれど、何からすればいいかわからない…」に向けての記事はこちらです。

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まとめ｜乳幼児の食育は「やりたい」を大切にすることから

ポイント	内容
① やりたい気持ち	レタスちぎり・混ぜる・のせるなど、小さな成功体験を積む
② 食べむらは成長	昨日食べられたのに今日は食べない…はよくある姿
③ 怒らない・比べない	行動を認める声かけで自己肯定感が育つ
④ 好き嫌いは興味の偏り	触る・洗う・選ぶなどの体験で興味が広がる
⑤ 無理しない	時短・宅配・冷凍の力を借りてOK

 

👶 「やってみたい」を拾ってあげるだけで充分です

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🌱 おわりに｜今日からできる小さな一歩

最後までお読みいただきありがとうございました。